オーダーメイドの編み物が買えるサイト

今日は、こんなサイトがあったらなあという、私の夢のお話です。

ここ最近、いろいろなハンドメイトのサイトが賑わってますよね。アメリカのEtsy、日本だとminneが有名なのかなと思っているのですが、他にもたくさんあるようです。

私はハンドメイドのためのコンテンツのひとつ、編み物のパターンを提供しています。編み物のパターンと、それを元にアイテムを編む人、手編みのアイテムを購入したい人を結びつける仕組みがあったら、おもしろいのではないかと思いました。

まずは編んでほしいアイテムのパターンを選びます。それから、そのアイテムを作ってくれる人をさがして、オーダーします。自分で編み物が出来なくても、誰かが手編みのアイテムを編んでくれるのです。

まずは、私がこんなサイトが欲しいと思った経緯からお話しましょう。

つい最近、人にすすめられてEtsyに登録しました。Etsyというのは、アメリカ発のハンドメイドのショッピングサイトです。何かおもしろい物はないかなあと思って、アイテムを検索しました。そして、衝撃的なアイテムに出会ったのです。

何だと思いますか?

日本の手芸本の違法コピーです。日本の手芸本をスキャンしたものを、ダウンロード用のデータとして、つまり電子書籍として勝手に販売しているショップが何軒もあるのです。中には100種類以上の本をそろえて、大繁盛しているお店も。

コンテンツが売られているということは、アイテムを作っている人もいるのかなあと、検索してみたら、はい、ありました。私のパターンの帽子を無断で販売している人もいました。

Estyって著作権侵害物を売るためのサイトなの!? とても悲しくなり、そして怒りがこみあげてきました。

でも、しばらくして、別の考えが浮かんできました。

どんなにがんばって取り締まっても、他人の褌で相撲を取る人を完全になくすことは不可能だし、そんなことをしても、エネルギーを消耗するだけだと思い始めました。

それに、このような商売が成り立つということは

  • 自分でオリジナルのデザインを考えることは出来ないけれど、編むことが大好きで、それを職業に出来たらと思っている人
  • 素敵なパターンを見つけても、自分で編むことが出来ないので、誰かに編んでもらえたらなあと思っている人

が、たくさんいるということかもしれないなと思いました。

それならば、みんながwin win winになる仕組みを作ってしまえばよいのではないでしょうか?

禁止するのではなく、条件を付けて許可を与えるのです。購入したパターンを元に編んだものを売りたい人と、それを許可してもいいというデザイナー、そしてそれを購入したい人を結びつけるシステムをつくるのです。

私はこのアイデアを、まずはRavelry に売り込もうとしました。Ravelryというのは、編み物のための交流サイトで、私もそこでパターンを販売しています。Ravelryには、すでに編み物のためのデーターベースがたくさんあるので、それを使わない手はないと思ったのです。

簡単に説明すると、Ravelryでは、パターンのページに、そのパターンを元に編んだプロジェクトのページがリンクされます。

それと同じように、パターンを売るページと、そのパターンを元に作られたアイテムの販売ページをリンクするような仕組みにすることができると思ったのです。そして、アイテムが売れるごとに、売上金の何%かの金額が、デザイナーにライセンス料として入ってくるような仕組みにするのです。運営者であるRavelryもまた、アイテムが売れるごとに、販売者から手数料をもらいます。

図解してみます。

上にあるのがパターン、その下が制作物(パターンを元に編んだアイテム)です。
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Estyでこれらのアイテムを購入したい人が見る検索画面です。どうですか?この中から、あなたの欲しいアイテムをすぐに見つけることが出来ると思いますか?

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私の考えたシステムではまず、パターンを選びます。

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気に入ったパターンが見つかったら、今度はそれを作ることの出来る人をさがします。
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あるいは、お気に入りの編み手がいたら、その人に、こんなパターンがあるのだけれど、私のために編んでくれないかしら? とお願いしてもよいかもしれません。

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買い手にとっては、とても使い勝手のよいシステムだと思います。これなら、他のハンドメイドサイトのカオスに対抗できるのではないでしょうか?

こんな動画を作ってRavelryさんにお願いしに行きました。

結果は?

大炎上です。

まずは、アメリカの法律では、パターンをもとに制作したものを勝手に販売してもOKなのだそうです。自分のしていることを不法コピー呼ばわりされた人たちから、「てめえ、ふざけんな」という感情的なコメントをたくさんいただきました。

デザイナーが「制作物の販売を許可しない」と主張すること自体が、そもそも変なのだそうです。「勝手に売られるのが嫌な人は、パターンを販売しなければよい」と書いてきた人もいました。

国によって法律が違うのですね。グローバル化したマーケットの中で、各国の法律でコンテンツを守ることは、難しそうだな、と考えました。

これは他の日本人の方も指摘して下さったことですが、私に感情的なコメントを書いてきた人の中には、すでにEstyでアイテムを販売してる人が多数いるのではないかと思われます。そして、この新しいシステムは彼らにとっても脅威になり得ます。

もし、私の提案したシステムが実用化されたら、彼らはその中で競争を強いられることになるでしょう。同じ物を編んで売っている人が他にもいることが、買い手に取って一目瞭然になるからです。「Ravelryの中で階級格差が起きるからやめてくれ」というコメントもありました。

感情的なコメントを書き込むのは、彼らにとって「無視する。何も書かずにスルーする」ということができない何らかの理由があったからだと思います。本当にたくさんの、批判的なコメントをもらいました。それほどに、みんなの感心のあるテーマだったのだと勝手に解釈しております。

そして、それは、

  • 実際に編んだものを売っている人、
  • これから売りたい人

が、たくさんいるということのあらわれではないでしょうか? では、それを買ってみたい人は、どのくらいいるのでしょうか? 私のアイデアは、ビジネスモデルとして、成立するのでしょうか?

Ravelryはパターンを販売するデザイナーから手数料をとっています。でもこれ、ほんの数%なのです。ある友だちに、これで収益がとれるのか? と聞いたら、ダウンロードはサーバーに負荷がかかるから、コスト的にはマイナスであるという答えが返ってきました。

Ravelryは、他にも、デザイナーや毛糸メーカーからの、広告収入を得ていますが、これもわずかなのではないかなあと思います。

その友だちは、ラベリーの運営費用はマーケティングデータでまかなわれているのでないかと言っていました。ラベリーの運営だけだったら赤字だけど、編み物データが他で生かされて、それが効果を生み出すのであれば、全体的な利益としては黒字にすることも可能なのですと。

Ravelryがマーケティングデータを提供しているという話は、私も、ずいぶん前に英語版のWikipediaで読んだ気がするのですが、今読むと、その記述はなくなっていました。なので、本当のところはどうなのかわかりません。しかし、利用者が400万人を超えるサイトを運営するにはそれなりの費用がかかります。私たちは無料で使う代わりに、データを提供しているのではないかあと思います。

同じような例だと、クックパッドがこの仕組みで、営業利益率50%をあげているそうです。

では、私のアイデアを使ったサイトも、マーケティングデータで利益を得るかわりに、利用者の手数料を低く抑えることが可能なのではないでしょうか。

仕組みがうまくまわれば、編み物の書籍を販売する出版社を巻き込むことも可能かもしれません。書籍として売られているパターンで編まれたものの売買を可能にするかわりに、出版社と著者にライセンス料が入るのであれば、彼らにとっても悪い話ではないと思います。次は電子書籍や、個々のパターンをそのサイトで購入できるようにしてくれるかもしれません。

違法コピーを取り締まるよりも、正規の販路を増やして売り上げを伸ばした方が、出版社も得をするはずです。違法コピーはもちろん許せることではありませんが、それが売買される背景には、日本のパターンを作りたいけれど、海外では購入できないという事情があるはずです。

私の考えた仕組みは、デザイナー(と出版社)にとっては、新しい収入源の確保になります。デザイナーが他から収入を得てくれれば、個人でハンドメイドを楽しみたい人は、今までよりも安くパターンを手に入れられるようになるかもしれません。著作権のことがあって、今まで販売を諦めていた人にとっても、新しい商売のチャンスです。

また、このサイトを使って、毛糸や、道具の売買も可能にできるのではないかと思います。最終的に、ソーイングやアクセサリーなど、他のハンドメイドの分野の人にも参入してもらえたら、とても楽しいサイトになると思いませんか?

実は、このアイデア、誰か優秀な人が実現してくれないかなあという他力本願な願いだったりします。私自身は、新しいシステムを作って、それを運用していくよりも、編み物のためのコンテンツを提供する方が楽しいからです。

どなたか、編み物のコンテンツを使って、新しい市場を開拓してみたいと思いませんか? もし、あなたが、手編みのアイテムが大好きなら、編み物のコンテンツ作りに関わる人たちを応援しつつ、商売も出来るという、またとないチャンスですよ。